糖尿病とは?
糖尿病は冠動脈疾患の危険因子です。
「糖尿病診療ガイドライン」ではHbA1c 6.5%以上、空腹時血糖126mg/dl以上、食後血糖200mg/dl以上を基準に診断します。口渇、多飲、多尿、疲れやすい等の症状がありますが、初期はほとんど自覚症状がありません。
糖尿病の治療の意義は糖尿病合併症(微小血管合併症と心脳血管疾患)の予防です。
・糖尿病網膜症
・糖尿病腎症
・糖尿病神経障害
・冠動脈疾患、脳血管疾患
糖尿病合併症は自覚症状が出た後に元に戻す治療法がないため予防が第一です。糖尿病合併症の予防は血糖を正常範囲にコントロールすることです。
糖尿病合併症予防のための治療目標値はHbA1c値7.0未満です。
血糖を下げる方法は(1)食事、(2)運動、(3)糖尿病治療薬の3種類です。
・食事は糖質を減らします。甘いものは勿論、白米、小麦粉(うどん、ラーメン、パスタ、パン、他)、菓子(お煎餅)等の糖質、加糖飲料に注意です。糖質摂取量の可視化には「あすけん」が有用です。
・運動は有酸素運動、毎日30分以上または週3日以上が目標です。ただし、高リスク例では冠動脈疾患の有無を評価してからの運動開始が安全です。
糖尿病の治療と同時に、必要に応じて冠動脈CT、頸動脈エコー、眼底の血管の状態を評価します。特に無症状の心筋虚血は珍しくないため、運動療法を開始する前に冠動脈のチェックは大切です。
糖尿病治療薬
糖尿病治療薬は数多くあります。病態によって使い分けます。
・ビグアナイド:メトグルコ(メトホルミン)
・DPP4阻害薬:ジャヌビア・グラクティブ(シタグリプチン)、他
・SGLT2阻害薬:ジャディアンス(エンパグリフロジン)、フォシーガ(ダパグリフロジン)、他
・GLP-1受容体作動薬:リベルサス(経口セマグルチド)、他
・SU薬:アマリール(グリメピリド)、他
・αグルコシダーゼ阻害薬:ベイスン(ボグリボース)、他
・グリニド:グルファスト(ミチグリニド)、シュアポスト(レバグリニド)、他
・チアゾリジン:アクトス(ピオグリタゾン)
・持効型インスリン:ランタス(インスリングラルギン)、他
・超速効型インスリン、速効型インスリン、混合型インスリン:多数
「FreeStyleリブレ」
15分ごとの持続間質液中グルコースモニタリングデバイスです。リーダー本体(7500円)、14日間ごとに使い捨てのセンター(7500円)、費用が若干ネックですが、自己管理意欲が高い方に向いており、劇的に血糖が改善する例が多いです
1型糖尿病
主に自己免疫性のインスリン分泌障害が原因の糖尿病です。劇症1型糖尿病、急性発症1型糖尿病、緩徐進行1型糖尿病があり、膵島関連自己抗体(GAD、ICA、IA-2、ZnT8、IAA等)が陽性になることが多いです。
治療は生理的なインスリンの動きを、基礎インスリンと食事ごとの追加インスリンで再現します。