胸痛の診療の進め方

胸痛の原因

胸痛の原因

・閉塞性冠動脈疾患(急性心筋梗塞、労作性狭心症)
・非閉塞性冠動脈疾患(冠攣縮性狭心症、微小血管狭心症、冠微小循環障害)
・冠動脈疾患以外の心血管疾患(心筋炎、心膜炎、弁膜症、心筋症、心不全、大動脈解離、大動脈瘤破裂、血管炎症候群、他)
・呼吸器疾患(気胸、肺炎、肺血栓塞栓症、睡眠時無呼吸症候群、胸膜炎、他)
・消化器疾患(逆流性食道炎、食道痙攣、胃炎、胃痙攣、特発性食道破裂、胆嚢炎、膵炎、胆管炎、他)
・整形外科疾患(肋骨骨折、鎖骨骨折、胸鎖関節痛、肩関節痛、筋肉痛、他)
・神経疾患(肋間神経痛、帯状疱疹、胸椎椎間板ヘルニア、他)
・薬剤性、カフェイン、喫煙、アルコール、他
・ストレス性、心因性、不安神経症、非心臓性胸痛
・その他、原因不明、上記にいずれも明らかな異常を認めないもの

胸痛の検査

・心電図、胸部レントゲン
・心筋トロポニン迅速検査、採血(心機能、凝固、炎症反応、他)
・冠動脈CT・心臓MRI、冠動脈カテーテル検査
・ホルター心電図、ニトログリセリン反応性、冠攣縮誘発検査
・心エコー、胸部CT、睡眠呼吸検査、他

冠リスク因子(coronary risk factors)とは?

冠リスク因子は冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)のリスク評価指標です。
・高血圧
・脂質異常症
・糖尿病
・喫煙(過去の喫煙、受動喫煙含む)
・大量飲酒(適量飲酒はOK)
・睡眠時無呼吸症候群
・肥満、運動不足
・加齢、家族歴、その他
冠リスク因子が多いほどリスクが高く、少ないほどリスクは低いです。

ニトログリセリン反応性

冠攣縮性狭心症は冠動脈の痙攣が原因で起こる狭心症で、冠危険因子を認めない場合もあります。「発作時にニトログリセリンが効く」ことが特徴で、その場合、冠攣縮誘発試験の適応を考慮します。

(参考所見)痛みの性状、緩解増悪因子

・冠動脈疾患を疑う痛み:胸全体の締め付け感、絞扼感、圧迫感
・末梢神経性を疑う痛み:ピンポイント、ズキズキ、チクチク、刺すような痛み

・冠動脈疾患の特徴:坂道、階段等の労作で悪化、安静で軽快
・呼吸、咳に関係:呼吸器系の可能性
・食事、飲酒に関係:消化器系の可能性
・姿勢変化に関係:筋骨格系、末梢神経性の可能性
・ストレスに関係:心因性の可能性