冠攣縮性狭心症

冠攣縮(かんれんしゅく)性狭心症とは?

冠攣縮性狭心症

心臓の血管、冠(かん)動脈が痙攣(れん)、収縮(しゅく)して起こる狭心症です。安静時狭心症、異型狭心症も同様の意味です。

狭心症は通常、高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙、加齢等の動脈硬化、冠動脈狭窄が原因で起こりますが、冠攣縮性狭心症は例外で、動脈硬化とは無関係に起こることもあります。

リスク因子はストレス、喫煙、アルコール、寒冷刺激、女性ホルモン変化等です。以前は稀な病気だと思われていましたが、最近はかなり多いことがわかって来ています。心臓病ではない、心配し過ぎだと言われてしまい、なかなか診断が着いていないケースも多いです。

冠攣縮性狭心症の診療の進め方

診断は「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」に従います。第一に必要に冠動脈CT・心臓MRIにて冠動脈狭窄を除外します。確定診断はカテーテルによる「冠攣縮誘発試験」です。

カテーテル以外ではニトログリセリン反応性、カルシウム拮抗薬反応性、ホルター心電図等による心電図記録が重要です。

いきなりカテーテル検査ではなく、治療の反応性を見ながら冠攣縮性狭心症の可能性を評価していく診療の進め方を「治療的診断」と言います。

冠攣縮性狭心症の治療

冠攣縮性狭心症治療は主に血管拡張作用がある薬を使います。
・カルシウム拮抗薬:アダラート(ニフェジピン)、コニール(ベニジピン)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、ワソラン(ベラパミル)、他
・硝酸薬:ニトロール(硝酸イソソルビド)、フランドル(硝酸イソソルビド)、ニトロペン(ニトログリセリン)、ミオコール(ニトログリセリン)、他
・シグマート(ニコランジル)
・αβ遮断薬:アーチスト(カルベジロール)、他
・ローコール(フルバスタチン)、マグミット(マグネシウム)、他

冠攣縮性狭心症の治療は個人差が大きいのが実際です。お茶の水循環器内科の経験からは、カルシウム拮抗薬のうちアダラート(ニフェジピン)、コニール(ベニジピン)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)の反応が良い印象です。ニトログリセリンは耐性化に注意して使用します。貼付剤のフランドルテープは貼る時間や面積で細かな調整が可能で有用です。シグマート(ニコランジル)は「虚血プレコンディショニング効果」という長期効果が知られています。β遮断薬単独は冠攣縮性狭心症を悪化させる可能性があると言われていますが、αβ遮断薬のアーチスト(カルベジロール)は著効するケースがあります。ローコール(フルバスタチン)が冠攣縮を抑制したという日本のデータがあり、脂質異常症もある場合は良い適応です。

ストレス、喫煙、アルコール、寒冷刺激、女性ホルモン変化等が悪化因子です。特に禁煙、生活習慣の見直しは薬物療法と同じかそれ以上に重要です。

微小血管狭心症

冠攣縮性狭心症と似た概念で、微小血管狭心症という概念があります。

冠動脈造影で造影可能なサイズ未満の血管の攣縮が原因だと考えられています。診断方法はまだ研究段階であり、確定診断の希望には添えないことが多いです。治療反応性による治療的診断がメインです。治療は冠攣縮性狭心症に準じます。ニトログリセリンよりも、ヘルベッサー(ジルチアゼム) の反応性が高い印象です。