冠攣縮性狭心症

冠攣縮性(かんれんしゅく)狭心症とは?

(1)冠動脈狭窄症(2)冠攣縮性狭心症
冠動脈の狭窄が原因冠動脈の痙攣が原因
動脈硬化が原因
(血圧、血糖、脂質、喫煙、加齢、家族歴)
動脈硬化と関係なくても起こる
(血管が痙攣を起こしやすい体質)
労作性狭心症
「労作で悪化、安静で軽快」が特徴
多彩(安静時、夜間、朝、寒冷、睡眠時無呼吸、喫煙、受動喫煙、アルコール、ストレス、女性ホルモン変化、等)
冠動脈CTまたは心臓MRIにて冠動脈評価
有意狭窄を認める場合は血行再建
冠動脈狭窄なし、かつ
「発作時ニトログリセリンが効く」ことが特徴

冠攣縮性狭心症の診療の進め方

「冠攣縮性狭心症と冠微小循環障害の診断と治療ガイドライン2023年」に従います。
(1)冠動脈有意狭窄の除外:冠動脈CTまたは心臓MRIにて冠動脈評価

(2)臨床診断:ニトログリセリン反応性、ホルター心電図にて虚血性変化所見、治療の反応性を見ながら診療の進め方(診断的治療)

(3)確定診断:入院検査「冠攣縮誘発試験」、カテーテル専門病院へ紹介

冠攣縮性狭心症の治療

冠攣縮性狭心症の治療チェックリスト:
・治療目標:月1回以下の発作頻度、日常生活に支障がない状態を達成すること
・禁煙は最優先、受動喫煙も避けること
・アルコールを控えること、理想は禁酒
・睡眠中を含めて寒暖差を避けること
・カルシウム拮抗薬コニール(ベニジピン)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)の投与
・ARNIエンレスト(サクビトリルバルサルタン)の併用
・脂質異常症も伴う場合はローコール(フルバスタチン)の投与
・β遮断薬を投与しないこと、αβ遮断薬アーチスト(カルベジロール)
・硝酸薬は耐性化に注意しつつ使用すること
・シグマート(ニコランジル)の併用:「虚血プレコンディショニング効果」
・適正体重の維持:20歳時の体重を目安に減量
・睡眠時無呼吸症候群は軽症、中等症であっても治療、検査したことがない場合は検査
・カリウム、カルシウム、副甲状腺機能、副腎機能のチェック
・専門医師への紹介、冠攣縮誘発試験の適応、薬剤調整、日常生活、緊急時対応

1、冠攣縮性狭心症の発作予防:持続性血管拡張薬
・カルシウム拮抗薬:コニール(ベニジピン)、アダラート(ニフェジピン)、ヘルベッサー(ジルチアゼム)、ワソラン(ベラパミル)、アムロジン(アムロジピン)、他
・ARNI:エンレスト(サクビトリルバルサルタン)
・スタチン:ローコール(フルバスタチン)
・持続性硝酸薬:ニトロール、フランドルテープ、他
・シグマート(ニコランジル)
・その他:セララ(エプレレノン)、他
2、冠攣縮性狭心症の発作時:即効性血管拡張薬
・即効性硝酸薬:ニトロペン舌下錠、ミオコールスプレー

微小血管狭心症

冠動脈造影で撮影可能なサイズ未満の血管の攣縮による心筋虚血が原因だと考えられていますが、診断方法はまだ研究段階です。確定診断は難しいのが現状で、治療反応性による治療的診断がメインです。治療は冠攣縮性狭心症に準じます。